降ろしたはずのお客様を轢いた——「確認したつもり」が一番危ない【交通事故ファイル②】

「確認したつもり」が人を轢く——降ろしたはずのお客様との人身事故

運行管理者のカズです。

今回は、これまで書いてこなかった
人身事故の実体験についてお話します。

正直、この話は書くべきか迷いました。
あまりにも現実的で、生々しいからです。

それでも書く理由は一つです。

👉この事故は、誰にでも起こり得るからです。


■起きてしまった事故

夜の出来事でした。

ご高齢のお客様が、手押し車と一緒にタクシーへ乗車。
乗務員は手押し車をトランクへ積み込み、
お客様は後部座席へ。

そのままご自宅付近へ到着し、
支払いも終わり、降車。

お客様はそのまま歩いて帰られました。

ここまでは、
どこにでもある“通常の降車対応”です。


AOI|Assistant
AOI|Assistant

ここまでは、完全に“問題のない流れ”ですね…


しかし、この直後に事故は起きます。


■バック操作の中で起きた違和感

乗務員は車を一度前に出し、
バックしやすい位置を作ろうとしました。

そしてバックを開始します。

その途中で、
車内で何かを落としたのか、
一度停止し、拾い上げる動作を行いました。

そして——

そのままバックを再開します。


■ドライブレコーダーに映っていた現実

後日、私はドライブレコーダーの映像を確認しました。

その瞬間、思わず声が出ました。


KAZU|運行管理者
KAZU|運行管理者

え…ちょっと待て…


映像には、
信じられない状況が映っていました。

車内で物を拾っている間に、
後方を歩いていたお客様が転倒していたのです。

しかし——

乗務員は、それに気づいていません。


そのままバック。


違和感を感じて車を降り、
後方を確認した時にはすでに——

お客様は、
出血し意識を失った状態で倒れていました。


■事故の結果

・肋骨5本骨折
・頭部縫合
・折れた骨が肺に刺さる重傷

非常に重大な事故となりました。

ただし、幸いなことに
被害者の方は一命を取り留めました。

現在も治療は続いています。


■なぜこの事故が怖いのか

この事故の本質は、
“見えていなかった”ことではありません。


👉**「見たと思い込んでいた」ことです。**


■人は“確認したつもり”になる

今回の事故は、単なる不注意では説明できません。

・確認したつもり
・見たつもり
・大丈夫だと思った

この3つが重なっています。


AOI|Assistant
AOI|Assistant

“確認した”と感じた時点で、思考が止まってしまうんですね…


人は一度「大丈夫」と判断すると、
それ以上確認しなくなります。

そしてそのまま次の行動へ進む。


👉これが事故の入口です。


■正常性バイアスという落とし穴

さらに、この事故にはもう一つの要素があります。

それが
正常性バイアスです。


人は強いストレスや異常な状況に直面したとき、

👉「大したことはない」
👉「問題ないはずだ」

と、現実を軽く受け止めようとします。


今回の乗務員も同じでした。

事故の説明を、笑いながらしていたのです。


普通に考えれば異常です。

ですがこれは——

👉人間として“正常な反応”です。


KAZU|運行管理者
KAZU|運行管理者

だからこそ、怖いんです。


■見えていても、見えていない

今回の事故で最も重要なのはここです。


👉後方に人がいることに気づいていない
👉転倒していることにも気づいていない


つまり

👉視界に入っていても、認識していない


これが
“確認したつもり”の正体です。


■事故のあとに見えた本当の姿

事故後、乗務員は謹慎処分となりました。

そして復帰初日。

営業車に乗り込む姿を見たとき、
私は忘れられない表情を見ました。

とても辛そうな顔でした。


AOI|Assistant
AOI|Assistant

人は、外から見える姿だけでは分からないものですね…


人は、

・強がる
・平気なふりをする
・感情を隠す

そういう生き物です。


■運行管理者として思うこと

当然、この事故の責任は乗務員にあります。

処分も受けています。

ですが私は、
責め続けることはしませんでした。


👉事故を経験した人間だからこそ
👉伝えられることがある


そう思ったからです。


■この事故は特別ではない

今回の事故は、特殊なケースではありません。


・確認したつもり
・見たつもり
・大丈夫だと思った


👉この積み重ねで起きています。


■①とのつながり

実はこの事故、
前回の事故と構造は同じです。

👉「行ける」と思った判断
👉「大丈夫」と思った判断


👉どちらも
“思い込み”が原因です


👉前回の記事はこちら
▶【交通事故ファイル①】信号につかまりたくなかった事故

▼【交通事故ファイル③】▼


■まとめ

事故は突然起きるものではありません。


👉「確認したつもり」
👉「見たつもり」
👉「問題ないだろう」


その一つ一つが積み重なり、
事故になります。


👉人は、見ているつもりで見ていない


これを理解していない限り、
同じ事故は繰り返されます。


■最後に

交通事故の本当の怖さは、

👉その一瞬ではありません。


👉その後に続くすべてです


責任
後悔
人生への影響


だからこそ、

👉「確認したつもり」で終わらせない


それが事故を防ぐために
一番重要なことです。

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